ロンドンの同時多発テロ

皆さんもそこそこ注目しているでしょうが、ニューヨークのテロに比べると地味だなと思っている人も多いのではないでしょうか?
「テロは地味では意味がない」と言うのが最近のテロ組織の流儀ですが、そう言う意味では今回は少々効果が薄いと言えます。死傷者も凄い数に上っていますが、ニューヨークに比べると少ない物だし。
サミットに合わせた犯行で、警戒態勢が厳しい中行われたのだとしても、軍事的見知からは規模の小さい犯行だと言えると思います。
確かに衝撃的な映像が取れる可能性が低い地下鉄がメインですから、余計にそう感じるのかもしれませんが、今回の事から色々な事が考えられます。


アルカイダが全力を掛けた犯行なら、死傷者の数も桁が違ったと思いますしね。


これらの事から考えても、以下の可能性が考えられます。
アルカイダという組織が分裂化している=中枢となるトップの統率が上手く取れていない。
●今回は、組織の存在をアピールする為のデモンストレーション的な色合いが濃い犯行だった
●組織の全力がこの程度という所まで低下している。
●想定していたよりも被害が拡大しなかった。

サミットで話し合われるはずだったアフリカ問題がすっ飛んでしまった事で、成功していると判断する人も居ますが、私は今回の犯行は失敗の部類に入ると思います。
確かにアフリカ問題が進展していたら、アフリカ情勢が安定し、彼等の活動拠点が減る可能性もありますが、借金を帳消しにした所で、現在安定しかかっている国がより急速に安定するだけで、不安定な国は不安定な状況が続く事は間違いなく、そうそう大きな状況の変化が有るとも思えません。
そうした中で、今回の犯行はせっかく対テロ政策の歩調が乱れていたのを、強固にしてしまっただけで、しかも中途半端なアピールで、イギリスは勿論ヨーロッパ各国でも、中東政策を考え直すべきだとする意見は少なく、過半数以上はテロを許すな!とした意見に傾いてしまった。

これではテロとしては本末転倒だと言える。
だから私は、テロ組織自体が隠し撮りもしていない点から考えても、アルカイダ系の中でも中規模組織の単独犯行なのかもしれないと考えています。イラクでのテロ事件も過激になっているとマスコミは強調したがっていますが、事実はまるで正反対で、かなり追い込まれているのは間違い有りません。
その根拠は、テロの標的が、アメリカ軍から同民族に移行している点が上げられます。

国内テロ組織の力が衰退し、国外のテロ組織に頼らないといけない状況、つまり国内の一般市民がテロ離れを起こしている証拠であり、イラク人の多くがアメリカ軍の統治下だろうが、安定した新政権を欲している証拠でもあるという事です。
イラク戦争直後のテロ組織は、レジスタンス的な色合いが濃かったのに対して、現在は完全に反政府的なテロリストの色合いが濃くなっています。そうでなければ一般人の被害が多い、無差別爆破の様な犯行を行う訳がないからです。これでは益々民間の支援が少なくなってしまいます。

つまり現政権が安定し始めれば、国外に追いやられていくという事です。

アメリカも現状から考えて、少しでもイラク国内から軍を引き上げようとしていますし、それ以降は資金的な支援になっていくでしょうから、益々民間の支持を失っていくでしょう。日本の赤軍のような運命が待っている事は間違い有りません。イランの問題がある限り、彼等の活躍の場は、まだまだあるでしょうが、いずれは殲滅される運命でしょうね。
無差別テロは民意を動かす事は最終的には絶対出来る物ではないという事でしょう。


それと、日本のマスコミは、やたらと日本国内のテロ事件を警戒しているようですが、これも殆ど心配する事はありません。これは推測ではなく断言出来ると言っても良いぐらいです。
何故なら、党の自衛隊に対する攻撃が殆ど無いからです。
「おいおい、つい最近攻撃されたばかりじゃないか!」という人もいるでしょうが、あんな物は何処かの先走った馬鹿の単独犯行でしか有りません。日本人傭兵斉藤さんが殺された事件でも分るように、本当に攻撃されるというのは、あんな殆ど装甲板もない高機動車のドアが歪む程度では済みません。
確実に死傷者が出ているはずです。その前の迫撃砲弾も挨拶代わりにもならないような貧弱な物で、イラク国内のテロ組織が本気でターゲットにしていない事は明白です。
そんな状況下で、ワザワザ世界一物価の高い日本国内を攻撃対象にするなど、およそ考えられません。国外での計画は、当然国内で起こすよりも遙かに多くの資金が掛かる事は言うまでもありません。テロのレポートでも書きましたが、彼等の資金は軍事組織としては脆弱です。そんな無限でもない資金を割いてまで、日本国内でテロをすると思いますか?

確かに彼等は彼等の信じる世界を具現させる為には、我々の常識、予想を超えた行動に出ますが、それを具現させる為の標的が有るとも思えませんしね。
それこそ、もう一度アメリカを攻撃するか、今回のイギリス事件が陽動で、より大規模な事件をイギリス国内で実施する方が効果的でしょう。正しく馬鹿げているとしか言いようがありません。
仮に、日本国内でテロ事件を起こしたとしても、それこそ世界に冠たるお金持ち日本が、本気で復讐する為に、軍事力を行使する可能性が上がるだけデメリットも何も無いと言えます。

日本人にしてみれば、そんな馬鹿なというシナリオで、、「そんな金が何処にあるの?日本が再軍備化?馬鹿な(笑)」って話ですが、それは日本人の常識であり、彼等にしてみれば真剣に心配する話でしょうからね。なんせ東京都の年間予算はインドの国家予算ですから(笑
まだまだ世界から見れば、日本はお金持ちです。そんな国が本気で軍隊を組織して、復讐に出ればアメリカ並みとは行かないまでも勘弁して欲しい敵になるのは間違い有りませんから、そう言う点を考慮しても安心して問題有りません。

何かといっては、事態を悪い方に、悪い方に報道しがちな日本のマスコミですが、確実にアルカイダはその力を弱めているのは間違いないでしょうね。