ウラン濃縮とは

そもそも天然で存在するウランの同位体には3種類があります。簡単に書くと

  • 「重いウラン(238U)」
  • 「軽いウラン(235U)」
  • 「もっと軽いウラン(233U)」

の3種です。しかし、最後の「もっと軽いウラン」は、含有量がもの凄く少ないし、今回の話には関係ないので無視してしまいます(笑)
原爆の原料、原子炉の燃料(核分裂の連鎖反応を起こす)のは「軽いウラン」のことを指します。天然ウラン中での含有量は約0.7%で、残りの99.3%は、核分裂を起こさない(一般的に言って)「重いウラン」なんですね。
そして「軽いウラン」の割合が、天然ウランの(0.7%)よりも大きくしたものが「濃縮ウラン」、小さいものが「劣化ウラン」です。天然ウランよりも「軽いウラン」の割合を高める工程が、「ウラン濃縮」と呼ばれる作業です。
原子炉の設計を特別な物にすれば、天然ウランそのままでも核燃料になりますが、現在我が国で存在する原子炉の殆どがアメリカ型の軽水炉で、すべてが「軽いウラン」の割合を3〜4%にまで高めた「低濃縮ウラン」を使っています。
そして、アメリカ型軽水炉で燃やす低濃縮ウランを製造する過程で「軽いウラン」が0.2〜0.25%の劣化ウランが生まれてしまいます。1トンの天然ウランからは、簡単に計算すると原子炉用の核燃料「低濃縮ウラン」200kgと、廃棄物である「劣化ウラン」800kgが生成されます。
ウラン濃縮はウランをフッ素の化合物である気体にして作業されますが、この劣化ウランガスを還元して金属にもどすと、比重19の重くて硬い固体ができます。この重いと言う特徴を、硬い金属の代表であるタングステン(比重はこれも19ちょっと)の安価な代替品として使ったのが劣化ウラン弾です。
蛇足ですが原爆を作るには、軽いウランの割合が90%以上の「高濃縮ウラン」にしなければ成りません。