ついでというか

前回欠陥マンションについて、買う方も気を付けないとどうしようもないと言う話を描きましたが、今回は建て売りについて、前々から一寸思ってる事を書こうと思う。

これは大都市近郊部だけの話しだと思うのだけど、最近プチ住宅みたいな建て売り住宅が流行っているんですよ。
どんな住宅かというと、それまで畑だった所が住宅になるのはよくある話なんですがその建て方が問題で、通常3件程度の家が建つような面積の土地に6件近くを無理矢理立てるという方法なんですよ。
これだけを聞くと、物凄く狭いな〜〜〜そんな家誰が買うの?って思うかもしれません、ところがこれがよく売れて居るんです。売り始めて一月以内には完売という感じです。下手をすると抽選会まで行なわれる人気で、その原因は大都市に車で1時間以内の距離で駐車スペースが一応1台分付いて一軒家。マンションよりは高いけど通常の一軒家よりは安いと言う所がポイントのようです。

家と家の距離が近いから、騒音問題は通常の一軒家より厳しい物がありますが、マンションよりは遙かにマシだし、狭いスペースを工夫して3〜4DK(もしくは2LDK)とマンションクラスのスペースは確保している為、3〜4人程度の核家族なら何とか生活出来るというのもポイントでしょう。
大都市に1時間の距離に通常の一軒家はキツイ、でも分譲マンションよりは一軒家の方が良い!という人にはなかなか面白い物件に思えるのもよく分る話です。
また、売り出す方も、3件より6件の方が儲けが大きいし、マンションを建てるよりも費用は当然安く済むのでリスクも少ないし、土地の確保も楽という事で両者の思惑が一致して、人気が出ているわけです。


しかしこれね・・・・大きな罠が待ちかまえているんですよ。


欠陥住宅だったというなら、罠以前のお話しなんですが、狭いだけでちゃんと建てられていても30年後、40年後にかなりの高確率で悲劇が起こります。
これから先の世界が、このようなプチ住宅がメイン商品になっているなら問題はないのですが、そうでないならそんな時の資産価値は物凄く低い物になる可能性があります。
土地という物はある程度の広さがあって初めて価値が出る物だからです。その周辺の土地の平均価格が高くても、所有している土地が変な形だったり、狭かったりすれば当然下がります。

またバブルとは言いませんが、建設ラッシュや、再開発計画が持ち上がるなどして立ち退きを迫られた時も、そんな狭い土地では買い叩かれる恐れがあるし、逆に売りたくなくて頑張った所で周りの5件が売ってしまったら、更に買い叩かれる事になってしまいます。

また、自分だけが何らかの事情で家を建て直す、もしくは売りに出すとしても、そんな特殊な建て方をした家を次ぎに買う人が居るかどうかは大いに疑問です。新築だから売れているというのは言うまでもない話ですからね。
そして取り壊すにしても周りの5件が壊すつもりもなければ、周りの家に被害が出ないように厳重な措置を執る必要があり、かなりの割増料金が請求される事になりますし、次ぎに建てる時もろくな重機が入れられませんから、これも割増料金を請求される事になります。
道路に直接面している家は、この手の問題が少ないですが、奥の家を買うとこれらの事態に直面した時頭を抱える事になるでしょう。

金を掛ければ掛ける程長持ちする家を建てれますが、建て売り住宅の寿命は言うまでもない話で、数十年以内には必ず大規模な手直しをする必要に迫られます。
その時に周りを隣近所で囲まれているような特殊な家の人は、通常よりも大きな予算が掛かる事を肝に銘じるべきでしょうね。昔から下町ではこんな話が良く聞かれました。
何らかの事情で何時の間にやら特殊な形で土地が残り、そこに無理矢理家を建てたが為に、取り壊しや処分の時に買い手も付かなくて非常に苦労したり、未だに死んだ土地として空き地のまま周りを家やビルに囲まれ、不気味な土地として残っています。

目先の条件だけを見れば、確かに都合の良い物件に見える時もあるでしょうが、家など高額で、しかも長いつき合いをする物を買う時は「安物買いの銭失い」は大きな痛手として降りかかってくる物です。

もし、これを読んでいる人で、そうした物件を買おうかと思っている人が居たら、こうした点ももう一度考え直してみる事をお勧めしますよ。