自動化の問題。

おこさまに指摘されたように、公共移動機関の操縦自動化は正確さ、効率化という見地からは理想的で、昔から研究が続けられているけど一部を除いて実用化されていないよね。それは何故か?

  • コストの問題
  • 事故の危険性
  • 故障の危険性
  • 犯罪の危険性

この4つが主に挙げられているみたいだ。
最初のコストの問題は、説明するまでもない話で、今回のJRもそうだけど、旧システムから新システムへ変換する時に掛かるコストが出せない(出したくない)と言う理由。まあ、これは問題解決は簡単だよね。


次が事故の危険性だけど、今回の事件はまさに人災な訳で、おかしいのじゃないの?と言う意見が聞こえそうだけど、仮に自動化した時のことを考えてみよう。無人車両の操縦は、完全自動化されるか?と聞かれれば、80%自動で残り20%はやはり人間が行っているのが現状だ。
中央コントロールで運行状況を監視して、いざ何かあった時にはそこから適切な処置を行う訳だが、それを判断し、行うのは人間でしか無理だと言うこと。
それと、車両の運行状況は監視カメラと、車載カメラで確認している訳なんだけど、其れを見続けるのは人間だし、モニター越しに何台ものカメラを見ているのは、どうしても緊張感に欠けてしまうと言う問題がある。
それと、いざ事故が起きた時に中央コントロールから指示が出来ればいいが、事故を起こした車両という物は、多くの場合ベストコンディションにあると当然言えない訳で、結局現地で対応しなければならなくなる場合もある。
そんな時無人では、何処かの待機所から派遣されるか、コントロールルームから派遣されるまで乗客は放置状態となり、必要以上のパニックを起こす可能性が出てくる。短距離線なら、職員の待機場所を確保するのも大きな問題にならないが、長距離線では待機場所の確保も大変だし、待機させておく職員の人件費も馬鹿にならなくなる。


故障の危険性は2種類考えられる。一つは車両単体が故障した時。もう一つは管制側が故障した時。有人なら故障の状況を管制側に伝えて素早い対処が出来るが、無人では其れが無理だと言うこと。自己診断プログラムで対応出来るが、其れが故障してしまっては意味がないしね。
さらに管制側は故障した時は正に悪夢だ。運行状況が確認出来ない状況下では、危険すぎる為全線で運行が停止してしまう。
人間が乗っていれば、運行ダイヤを確認しつつ、それでも徐行などで最寄りの駅までは移動出来たりもするが、無人では停止したままだ。
取り残された乗客は、非常開閉装置で車外に出て、線路伝いに歩けばいいのか、残るべきかどうかの確認も内部にある電話でしか聞くことが出来ず、しびれを切らした乗客が、指示を無視して外に出てしまう危険性もある。
新幹線などで元治込められるトラブルはたまにあるが、その時も乗員が定期的に状況を説明するからこそ、そしてその不満を乗員にぶつける事で我慢出来ているのであって、あれが無人で電話に出た誰とも正体の分らない乗客の説明では、勝手な行動に出る客も多くなってしまうだろう。


そして犯罪の危険性、これが最も大きな問題だとされている。
ハッカー問題が大きく取り上げられている昨今、公共機関のコンピューターにも当然ハッカーは入り込んでいる。
そのハッカーがコントロールを操作するような危険性は当然ある訳で、現在のように有人の車両なら、おかしな動きを見せれば即座に運転手に通報して操作を指示出来るが、無人だとそうもいかない。
そもそも、管制官の指示を奪い取っている訳だからね・・・・機械に其れを見破る能力は無い。
そうなっては乗員の命は、完全にハッカーに握られてしまう。では運行ダイヤル以外の指示を受ければ強制停止するようにするか?と言う案も出たが、これでそれ以外の非常事態に管制から指示を出しても停止してしまうことになり、役に立たないと言うことで却下された。
まあ、他のセキュリティーと同じく、人間が組んだ物は必ず人間に突破されてしまう危険性がある以上、完全に信用することは不可能という訳だ。

この危険性を解決できないため、現在も完全無人化は広く実用化されることはなく、実用化されているのも区間が短く、速度をそれ程出す必要もなく、運行本数も少ない小規模な物に留まっている。つまり実験的な運用と言うことだ。
軍事面でも民間よりも昔から研究されているが、やはり結論は人間に勝る人工知能が開発されない限り、実用化しても人間のサポート以上の仕事は任せられないと言うことになっている。
旅客機の操縦も、実は現行の技術ですでに完全無人化出来ており、離陸も、航行も、着陸も問題なく殆どの気象条件下でも出来る。
事実、アメリカの問題になった某国内線みたいに、離陸後はパイロットとフライトアテンダントが、仮眠室でニャンニャンし放題!なんて真似をしても、何年も無事故で済んでる訳だ。しかしパイロットを無くすことが出来ないで居るのも、上記の問題が解決されないからだ。

人間が離れた所から、何らかの方法で操縦すると言うことは、何らかの方法で乗っ取られる危険性があると言うことで、これは永遠のジレンマだろうね。鉄人28号と同じだ(笑
あ〜る時は正義の味方♪あ〜る時は悪魔の手先♪ってなもんだ。

だから、現在考えられる最も安全なシステムは、完全自動操縦か、誘導操縦が出来る車両に、操縦者を乗せて運用するという方式。まあ、旅客機のシステムですな。
それでも事故は起こるのだけどね・・・・・・。システムを作るのも、運用するのも人間である以上、完全に安全という物は無理なんだろうな。

後、これは私の個人的感想だが、日頃無人で操縦されている車両が何かのトラブルで操縦不能となった時、どこからか派遣されてきた運転手が操縦して、最寄りの駅まで移動したりするのだろうけど・・・・普段操縦していない人が、操縦するのもね・・・・・・・・・・訓練はしてるんだろうけど・・・・。

まあ、完全に安全じゃなくても、無人の方が今回のような事故が起こる可能性が低いというのも分る話なんだけど、今回の事故のような大事にならない多くの事件、事故は有人だから大きな問題になる前に対処出来ているという事実も無視出来ないと言うことですね。
まあ、以上の理由で、多くの公共移動機関が、無人化するのは難しいと言うことですよ、分って貰えたでしょうか、おこさま?