劣化ウラン弾の問題点②

しかし「レントゲンは一瞬で、砲弾や、その破片はず〜っとあり続けるじゃないか!!」と言う人もいるでしょう。


これは根本的におかしな話です。


人体が受ける放射線被害は受け続ける時間が問題なのではなく、受ける量が問題なのです。時間が問題なのだとすると、一瞬ならどんな強力な放射線を受けても人間は何の影響も受けない事になってしまいますが、実際は強力な放射線を浴びれば人間は即死します。

それでも環境に対する放射線の影響や母乳などから乳児に対する影響が蓄積されていくという人も居ます。しかし、本当にそうなのでしょうか?
それなら天然ウランの鉱脈の上で先祖代々生活している人は世界中に沢山居ますが、さぞかし酷い事になっているのでしょうね〜・・・・・・・・・・。なんせ劣化ウランの100倍以上の放射線の上で生活してるんですから(笑

大体どんなに考えても、この劣化ウラン程度の放射線量で、核アレルギー体質の人達が言うような身体的被害が、この早さで出る事はどう考えてみてもあり得ないのですよ。仮に彼等の言うような早さで身体的な被害が出ていて、それが劣化ウラン放射線が原因だとするなら、その放射線量は、チェルノブイリクラスと言う事になってしまいます。天然ウランの100分の1でチェルノブイリクラス・・・・・明らかに何かがおかしくないですか?と言う事は、誰かが間違っているか、嘘を付いていると言う事になってしまいます。これは揺るがない事実です。

なんか、劣化ウラン弾の弁護者のようになってきましたが、私はそんなつもりはさらさらありません。一番最初に書きましたが、私は劣化ウラン弾には問題があると思っています。

それは化学毒性の方にこそ大きな問題があると考えるからです。
ウランの融点は1133℃,沸点は3818℃です。言うまでもありませんが、物質は融点を超えると完全に液体に、沸点を超えると完全に気体になります。この事を考えると融点約1100℃というのはかなり低い温度だという事が分かるでしょう。
この程度の温度では、戦車の装甲を貫通する時、摩擦熱で簡単に液化する可能性があります。その結果多くの「核アレルギー」の人が言うように、貫通後液化した劣化ウランは冷えて固体化し、微細な粉塵にも成ります。その結果粉塵を吸い込んで人間等の肺を、風に流されればその周辺を汚染する可能性があります。


しかし放射線の被害と言うより「「毒物」」としてですけどね。


先にも書きましたが、ウランは科学毒性のある物質です。ですから多くの核アレルギーの人々が主張する健康影響は腎臓や肝臓への物に集中すると考えられます。
そして多くの重金属汚染と同じく、この被害は人体に蓄積されますし、母乳などからこの被害が乳幼児に及ぶ可能性は否定できません。
そう言う意味で劣化ウランは問題のある兵器だと私は考えます。
ちなみに、アメリカ以外の国が使っていて、日本の自衛隊も使っているタングステン合金はウランと同じく科学毒性が高い物質です。
しかしその融点は3387℃、沸点は5927℃です。つまりウランに比べると融点がかなり高めなので、そう簡単に粉塵化する事はありませんが、汚染しないわけでもありません。弾自体や、破片は立派に環境を汚染します。しかし、ウランが極めて科学的に活性な物質であるのに対してタングステンは安定した物質である事から、深刻な問題になるとは言い切れませんが・・。


そして劣化ウラン弾は原料が廃棄物なのだから、当然安価で対戦車弾製造のコストはタングステンを使う場合の1/10ですむともいわれていますが・・・・・・・・・。
しかしこの意見には大きな落とし穴があって、アメリカは国内に優良なタングステン鉱脈が無いから、タングステンを輸入して加工するのに比べると、やや低コストになると言うだけで、実際加工費を調査していくとタングステンとさほど変わらないという説もあります。これはまだ調査不足で、確証を持てる話ではないのですが・・・・・・
しかし、そうするとアメリカはコスト削減と言う理由を隠れ蓑にして、有毒な産業廃棄物を国外に捨てているという見方も出来る。むしろこの事の方が大きな問題だと言えるでしょう。

核アレルギーを散々馬鹿にしてきたましたが、核兵器を嫌悪する事自体は問題がないと思います。
しかしアレルギーにまでに成って「とにかく核関係は何でもダメダメ!!」と言う視点で見てしまうと、結果として真実を歪めたり、頭から考えないようになってしまっているのではないでしょうか?
これは非常に大きな、そして深刻な問題だと思います。
もし、アメリカを始めとする劣化ウラン弾使用国(ロシア、イギリス、フランス、中国)の思惑が産業廃棄物の不法投棄にあるのだとすると、核アレルギーで放射線被害ばかり取り上げている間は、科学的根拠のない馬鹿げた訴えとして平気で使用を続けてしまう事になります。
だって、放射線による深刻な人体に対する影響などあり得ないのですから、幾ら騒がれても何のダメージも受けません。その間に有害な毒物を国外にドンドン投棄できるのですから、「核アレルギー」を一番歓迎しているのは、これらの大国という事になるのかもしれないのです。
我々はもっと冷静に物事を見極めないと、この問題は一部の権力者だけが得をするという典型的な事例になってしまうのではないでしょうか?

それに、イラクでの身体的な影響が本当に多発しているのなら、劣化ウラン以外に原因がある事になります。この騒ぎを盲目的に続ける事は、この真の悪をも隠してしまう事になるのではないでしょうか?

本当に問題視しなくてはいけない物は何なのか?これを見極めるには、先入観は捨てるべきです。